ジャワの暮らし51

2013/01/13 過去のブログ(エキサイトブログ)より

1/12夕暮れ、ワヤンに出掛ける準備をします。
プシンデンという女性の歌い手は、サングルという大きなつけ毛を着けたり、しっかり濃いめの化粧にクバヤという衣装を着ます。特に目のメイクにこだわり、複数の色を上手に使い分けている様子。90分以上かかりますよ。

その間にこどもたちも準備。久々にお湯につかりました。


この一ヶ月間私たちとずっと一緒にワヤンを体験したこどもたちは、上演中ほとんど寝ていました。時々目が覚めると少しワヤンを見て、ビモの髪の毛がボサボサだぁzzz・・・とか、パパの持ってるワヤンより多いねぇzzz・・など1,2言の感想を言ってはまた眠る、起きては楽器の中を少しうろうろして気付いたらまた寝ていたり、とにかくほとんど寝ていました。
他のこどもたちを見ていると、やはり小さい子はすやすや寝ている、大きなお兄ちゃんはじーっと座ってる子もいれば、ともだちと走り回ってる子もいた。全くワヤンに注意を向けていないような彼らは、そうやって何度も夜を重ねていくうちに、知らず知らずにワヤンが体に染み込んでいくのだろうと思います。


プシンデンが並びます、昔はプシンデンも演奏者同様スクリーンの方に向いていたらしいのですが、今はお客さんの方を向いています。だからワヤンがとっても見にくい。
向かって一番左のプシンデンは、小学校二年生からキ・セノの楽団で歌ってきました、現在大学一年生。歌もうまいし話術もさすが。年期が入っています。
左から四番目の女の子はネティちゃん、シンデン業と子育てに加えて結婚式などのメイクアップの仕事もしています。この日もワヤン終わりで早朝からメイクの仕事があると言ってました。学生時代の控えめな彼女を思い出し、本当にパワフルで魅惑的な人になったなぁと思います。

さてガムラン前奏、司会の挨拶、いよいよワヤンのはじまり。ダランにワヤンが手渡されます。


この夜は、ジャカルタやバリなどインドネシアの各地に店を持つ会社の、ジョグジャカルタ支店オープン記念のワヤンでした。ダランはワヤン上演を通じて、末永い会社の繁栄を祈り、またご近所の人たちにはこの会社のことを宣伝・紹介し、会社が地域に受け入れられるような計らいを忘れません。
またワヤン本編がシリアスに語られているかと思えば、突如会社のことや演奏者をいじったりと、いろんな方向に話をふり、観客を飽きさせません。


今回は太鼓奏者のトロさんを、笑ってる時やふざけてる時だけでなく、観察してみました。
大きな声で笑っていたかと思えば、真剣な顔で太鼓を叩いたり、何かを考えているような時もあり、この前彼が言っていたワヤンという芸能への思いがそのまま伝わるような姿でした。ちなみに、その合間にも「手描きのバティックいらん?安くしとくし~」と同じ現場にいる私にsmsを送ってきたりもするのでした。やり手だね!
また、お客さんとして見に来ていた元キ・セノ楽団の太鼓奏者に、トロさんは途中から演奏を譲り、自分は他の楽器へ移動した。(こういうことはままあることです。)ダランに「やっぱり前の奏者のが格段に腕がいいな!」といじられれて、がははは!ぶはははは!と笑っていました。

午前2時、ご飯が回ってきました。


GUDEGグデッというジョグジャカルタの名物料理です。甘くて辛いじっくり煮込み。

徹夜で8時間のワヤンは、時に眠くなることもあるし、長いなぁと思うこともありますが、ひとしきりそういうのが過ぎ去ると、場の雰囲気やガムランの音やワヤンを照らす光に溶けていきそうな何ともいえない心地になることもあります。気持ちよすぎて寝てしまうこともあります。眠っていても体のどこかでワヤンを楽しんでいればよいというような。こどもたちもそうやって大きくなっていくのでしょう。
日本では少しずつ私たちのワヤン上演を見てもらえる機会が増えました。でもぜひ一度、二度三度と本場インドネシアのワヤンを観ていただきたいと思います。

恐らくこれが、今回の帰郷で最後のワヤンになると思います。年末年始と多くのワヤン公演があり、本当にいい経験ができました。
エアアジアでアジアへ行きやすくなりましたし、
LCCで行く・年末年始ワヤンツアー!ということでまた来年も行けたらいいなと思います。

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